【テーマ】「産業界に資するイノベーション教育とは何か」- 大学における教育改革と将来のイノベーション教育のあるべき方向性 -
イノベーション教育学会の年次大会は第4回目を数え、この度は、2016年6月に東京工業大学にて開催することとなりました。今回は、東京工業大学EDGEプログラムである「チーム志向越境型アントレプレナー育成プログラム(通称CBECプログラム)」との共催となることもあり、産業界に資するイノベーション教育とは何かを問い、大学における教育改革と将来のイノベーション教育のあるべき方向性について議論するため、各機関が行っている先進的なワークショップ事例発表や、イノベーション教育の最新事例発表の機会も設けました。また、新しい試みとして、イノベーション教育科学研究部門の発表機会を初めて設けました。教育関係者はもとより産業界からも多くの方々、機関がご参加されることを期待しています。
▶開催概要(参加方法と公募情報)
日本の企業や学術研究の現場でなぜ大きなイノベーションが生まれにくいのか。本講演の問題意識はそこにある。企業の事例と実証データを用いて研究者と実務家の両方の視点から論じる。
講演者が特に注目しているのは、ユーザーイノベーションという現象で、自身の実務家時代の経験が誘因になっている。1990年代、企業側が呼び出し専用機器と考えていたポケベルを若いユーザーが「公衆電話に暗号を打ち込む」というアイデアで双方向コミュニケーションツールへと変えたのが一例だ。ユーザーイノベーションが企業側の開発を思いもよらぬ方向へ導き、企業現場でのカイゼン活動がそれに呼応する。そこに日本企業の強みがあったと考えている。にもかかわらず、その後、生活者を起点とするカイゼン活動への経路は遮断され、企業内部のみに目を向けたカイゼン活動、発明型技術革新への過信、カリスマ経営者の待望ばかりが強化され、日本企業の弱体化が始まったのではないか、というのが、講演者の主張である。日本の現状のイノベーション教育にも同様の危うさが存在している。「イノベーションの誤解」を克服できる人材の育成が喫緊の課題と考えられる。